モラルハザード

「バブルが崩壊したら、色々リスクヘッジしても結局全部溶けちゃうよね?」
「うーん。それは僕らの考える範疇にはないよ。もしもの時は、俺の職がなくなるだけさ」

リーマンブラザースが破綻して、AIGが政府管理になって、恐らく債権回収機構みたいなものが作られるだろう。まあ、人の人生からみたらちょこっと長いかも知れないけど、人類の歴史から見たらほんのわずかな期間、景気が後退することになるだろう。大恐慌について記憶もそれほど古くなっていない現代では*1、それが恐慌の連鎖を起こし、経済のブロック化を進め、戦争に発展するような、前大戦の二の舞は余裕をもって回避できると信じている。

これらの救済策に対して、モラルハザードだと強く非難する人は既にたくさんいる。けど、現に起きつつある戦線崩壊に対して責任問題を云々するのは気が早すぎる。今は崩壊しつつある戦線を立て直すのが先決。

個人的には「そのときゃ俺の職がなくなるだけさ」と言っていた個々の人たちのモラルハザードの事も、もっと考えるべきだと思う。ガバナンスってのはそういう事かなと思う。こちらの議論の方が、戦線を立て直した後に、生き残った金融機関で、より良い金融システムを作り上げることに資すると思う。

*1:そしてとっくの昔に金本位制を放棄し、管理通貨制度となっている現代では