村八分システム

マーケットの馬車馬さんの所で「和魂と洋才」シリーズをやっている。本石町日記さんも注目していると書かれていたが、僕も興味深く読んでいる。今回は「和魂と洋才と医療の崩壊(上)」で、以下の箇所に思いっきりノッディング。

人間は自分の利益を増やすためにギルド社会を形成し、その上で「他人は皆善人」と考えるようになるのである。社会学などでは性善説は理屈抜きの仮定だが、ここでは性善説は合理性から導かれる結論であり、現象なのだ。

我々は評判メカニズムが機能する所(銭湯や、会社組織など)を見て、皆善人なのだと錯覚した。その錯覚は、評判メカニズムが機能している限りは正しいので問題にならない。しかし、その錯覚を評判メカニズムが機能しない救急活動の分野にも適用すると、その社会はゆっくりと綻んでいく。

僕も同じような事を考えていたけど、ここまで端的に表現できたことがないです。次から使わせてもらいますw

日本的取引慣行というのがあるけど、これは明確にマーケットの馬車馬さんが言うギルドシステムです。この商慣行の成立条件と、他国(例えば中国など)では何故成立しないのかに興味津々だった時期がありました。今でも興味はあるけど新たなインプットがないので放置状態です。というか、そもそも日本的取引慣行として上げられる点も上手く列挙できていない。僕は商学部でも経営学部でもないので、この辺の識者の認識もよくわからない。これからも何かインプットがある都度、考えを膨らませていこうと思っています。一つわかっているのは、東南アジアにもアメリカにも銀行取引停止処分がなさそうだという事です。不渡り2回での銀行取引停止処分と、その事実の官報への記載は、明確にギルドシステムですね。


さて、引用元の後半は救急車システムの改善提案についてですが、勝手に整理すると

  • 村八分型)重症ではない利用を数回したらブラックリストに記載して利用を拒絶できるようにする
  • (コストベネフィット型)前金制で有料化する
  • (法的規制型)法的に規制し、罰則を設ける

の3つが上げられています。

村八分型は、救急隊員の判断や誰がブラックリストに入っているのかがブラックボックスになってしまいますので、ここを明確化しないと、誰かを悪者にした方が売れる事を知ってしまった今のマスコミの視線には耐えられないと思います。

コストベネフィット型は一見経済学的にスマートに見えますが、病院の踏み倒し問題がありますね。マーケットの馬車馬さんも、「完全前金でなければ駄目」と書いています。その場合、救急用として適切と認められた人は後から返金するという事になろうかと思います。ただ、ナショナルミニマムとして存在する医療関係のサービスで前金−返金制は実はあんまり評判が良くなくて、特に収入が少ない方はこの前金負担が重いようです。

法的規制型は、とりあえず出動して、サービスを提供した上で、後から刑事告発できるようにするのかなぁ。訴訟費用とかかかりそうですが、罰則としてブラックリストを適用して村八分型と連動させたら面白いかも知れません。少なくとも、救急隊員の自主判断に任せるよりは、外からの制度批判に耐えやすいと思います。