イオンとCFS

CFS株主総会が終わりました。アインとの経営統合は否決されたそうです。僕は行っていませんが、会社を代表して別の人が総会に出席して、票を投じてきました。ここ数日は所謂プロクシーファイトに巻き込まれて、会社としての方針をどうするのか、本当に困った事になった次第。たまたま株式持合いの関係でCFSの株を持ちつつ、イオン・CFSどちらとも取引があったので、どちらの顔も立てたいと思ってしまったことが苦悩の発端です。

プロクシーファイトの真っ最中に何か書くと問題になりかねなかったのですが、終わってしまった事に対してなら色々言えるかなといくばくかの話をば。まあ、ぶっちゃけ、「株主総会はどうあるべきか」なんていう規範的なお話ではなく、現在どうなっているのかという現実のお話です。

1.何故イオンはTOBをしなかったのか
TOBしてもらったらどんだけ楽だったことか。けど、残念ながらイオンとCFSの間にイコールパートナーシップに関する覚書があり、イオンは15%以上の株式を所有するには、この覚書を破棄しなければならなかったそうです。覚書を一方的に破棄すると当然ながら今度は法廷闘争が始まってしまいます。

2.何故イオンが勝ったのか
これは確保しなければならない票数の差が大きかったと思います。イオンは否決すればよかったので、筆頭株主として保有している株式15%に加えて、残り18%程度を上積みすれば1/3を確保でき、特別決議を否決できます。CFS陣営は66.6%超を確保するためには、50%以上の上積みが必要でした。
また、上場企業の株とはいえ、かなりの比率を「取引先企業」「取引銀行」が所有しています。本来であれば、これらは安定株主としCFSに賛同するはずでした。が・・・相手はイオン。この取引先の大半はイオンとも取引があり、身の処し方に大変迷う羽目となったわけです。
大雑把に言えば、両者取引があればイオン寄り、地元企業で取引がCFSに限られていれば(取引先・銀行とも)CFS寄りという投票行動にならざるを得ません。表立って言うと大問題になりますが、誰も何も言わなくても、今回の投票行動が踏み絵となり、どちらか一方の取引を終了する結末が予想されるわけで、営業活動を考えた場合どちらをとりますか?という話になるわけです。
というわけで、取引先票の行方と確保しなければならない票数を考えたら、否決は想定の範囲という事になるわけです。

今回の件で、上場企業が注視すべき点は、「安定株主のつもりで取引先に持ってもらっている株式も、相手次第では・・・」という事がはっきりした点でしょう。一般の投資家の方も、この事は忘れてはならない事実だと思っておいた方が良いでしょう。

3.じゃあCFSの経営者は駄目だったのか?
僕はそんな事はないと思います。イオンだって、今までまともな支援をしていなかったのです。それをイオンが認めていたからこそのイコールパートナーシップ覚書なわけです。例えばトップバリュー。今時珍しくCFSトップバリュー商品を要求したそうですが、後回し扱いされていたようです。イオンが勝ったという事は、逆に言うと今後はCFSに対してもっと責任を負って何を提供するのか示さなければならないという事を意味するのかなぁと思います。
もともとCFS経営陣の身の安全を確保した上で、ジワジワとイオン依存度をあげていれば、いずれ諦めもついたわけで。ドラッグ部門の生き残りをかけてアインと統合なんて話にはならなかったと言うことですね。

4.今後の流れ・・・
CFSキミサワ店舗がマックスバリューになるのかなぁと。
元々マックスバリュー東海はヤオハンCFSキミサワという事で、地元の人間は良く知っていますが、昔々はライバル同士。犬猿の仲で取引先も二分されていました。でも、現在は、双方経営陣はまるっきり変わっています。現CFSの経営陣は君澤さんではなく、ハックの石田さんの系統です。というわけでドラッグで生き残るつもりなら、スーパー部門をイオンに売却し、対価で株式を買い戻して、再度アインと経営統合というのはありだと思います。岡田さんは認めたくないでしょうが、それが一番穏便な解決策かなと思います。一方、イオンがドラッグ部門を必要だと考えているのであれば、今回の票数に自信を深めて、15%+αの力でイオングループに囲い込もうとするかも知れません。この場合も、ハックキミサワキミサワ部門はマックスバリュー行きかなぁ。

結局、こういう事を考えちゃうから、スーパーマーケット部門の取引先はイオンに流れちゃうわけですね・・・

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