新銀行東京周辺の思い出2

以前のエントリーでも書いたけど、仁司泰正元社長の時代に後輩がこの銀行に勤めていて、酒の席で色々聞いた事があります。旧経営陣批判のニュースを見ながら、その時に聞いた話を思い出しました。

当時、若いなりに仁司当時社長とサシで話ができる立場にいた彼は、「銀行から来た連中がちっとも働かないんだよね」と言う話を社長としていたそうです。僕は「あいつら、できない理由ばかり並べてサボタージュしやがる。銀行出身なんて偉そうな顔してるけど、仕事はできない。」みたいなニュアンスでとりました。

僕がなんと返したのかは覚えていませんが、良くある「リスクをとらない銀行体質への批判」から会話が流れてきたので、「銀行ってリスク取っちゃ駄目だよ」というような事を言った上で、以前のエントリーのビジネスモデルに話題が移っていき、例の都の公共事業関連の売掛債権担保融資とか、都外からの預金者の預金保護の責任問題とか都と地方の資金循環の話になったように思います。

たったこれだけの内容ですが、昨今の責任問題のニュースを聞きながら、色々想像を膨らませてしまいました。以下、あくまで僕の想像の産物です。

1.新銀行東京は、貸し渋り貸し剥がしなどの銀行批判の延長で設立された銀行である
2.代表者の仁司元社長は非銀行出身であり、銀行出身役員とは、新銀行東京の経営方針をめぐって対立があった

まあ、この辺は常識的な範囲で。続いて

3.仁司元社長は新銀行東京の設立趣旨に則り、リスク融資の方法を模索するように指示をしていた
4.銀行出身者は、「リスク融資なぞ無理」という前提で抵抗
5.仁司元社長自身は非銀行出身という事もあり、サブプライム的融資の結末が予測できていなかった
6.同時に、銀行出身者の言う「無理」な理由を理解しようとせずに、抵抗勢力扱いをした

こんな対立構図があったのかなぁと。そして、

7.仁司元社長は自分の使命を果たすべく、どこかで強権発動して、リスク融資を増やさせた
8.銀行出身者で心ある人は退任し、役員権限を乱用するような人材が逆選択的に残った

9.そして経営危機に。
10.新銀行東京がリスク融資という看板を下ろし普通の銀行となるための通過儀礼として、株主を訴えるわけには行かないので仁司元社長が批判の対象となった*1

こんな感じです。まあ、全くの推測です。

推測ついでに・・・大経営者の周りには、大番頭がいます。自分たちの方針の成否について考えを及ばす代表者に対して、彼から「やれ」と言われた事を遂げる事に使命感を燃やすタイプです。大経営者が方針の是非についてしっかりと考えているおかげで、「与えられた使命を全力で行う事で評価される」人です。No.2とか懐刀とか言われるタイプで、豪腕型・調整型色々います。大番頭にはお守り役・批判者役の人もいますが、堺屋太一風ネタになりそうですので、ここでは割愛。

仁司社長がどんな人か、全く知りませんが、僕はこういうNo2タイプの人に思えてきました。それゆえ某元経団連会長の信任も厚かったのでしょうか。そして、ヘンテコな使命を押し付けられた際に、使命を疑う事ができずに、なるべくして責任を取らされる立場となってしまったのか、それともここで「方針を考える立場」に変わりきれなかったのが本人の欠点なのか。

僕は他人を批判できるような偉い人ではありませんし、ここで語っている事は僕の推測でしかありません。単に、普段から、その人の人となりと立場のミスマッチによる宿命みたいなのを感じていまして、それを仁司社長の一件に仮託しているだけだと思います。

実際、経済の話をしていても、他社の交渉役の人と会社を代表した話をしていても、この手の人はゴロゴロしていて、まあ議論にも交渉にもなりません。僕は、「損をするのはあなたなのに・・・」と思いつつ、時間の無駄だなぁと思いながら損が目に見えて生じる時がくるのを待つだけです*2

本人は良かれと思ってやっているのに、報われないこと。そして、その事で無用な軋轢を生む事なんて、世の中にはゴロゴロ転がっているんですよね。というか、最初に立てた方針が、「いきなり正解」なんて事はまず無いし、「正解を導く思考法」なんてのもありません。「目に見えて明らかな失敗はしない」事くらいしかできませんので、人によっては「朝令暮改を恐れてはいけない」とか言うし、「判断のスピードアップ」を薦めたりするわけです。

信頼度:★☆☆☆☆

P.S.
本エントリーに絡めて、星野監督落合監督の比較というか、「何故財界人から星野監督が評価され、落合監督が嫌われるのか」という話を書こうかと思ったけど、さらに個人的見解の仮託が激しくなりそうなので、パスします。

P.S.2
更に、本エントリーに絡めて、日本で取締役会とかその手の合議体が機能しにくいのかについての思いつきネタも書こうかと思いましたが、こちらも思いつきが激しすぎるのでパスします。


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*1:個人的には企業の時価評価額をゼロにしてやるのが、最大の株主責任の取らせ方だと思うけど。

*2:そしてサボタージュしていると思われるのでありましたorz