変なたとえ

政府紙幣発行をL&Gの円天に喩えて批判する人がいるらしいけど、流石にそれは喩えとして不適切じゃないかと思うわけだが。円天に喩えるなら、むしろ、弱小固定相場国が外貨準備枯渇に際して、劣後な外貨建て債券を発行して自転車操業するようなケースにすべきかなと。なんか、どうせ中身を見て判断する奴なんていねーんだから、適当にインパクトがある事件を取り上げて、「詐欺」っぽさを印象づけてやれみたいな、乱暴さを感じて仕方がありません。

まさか、国会議員ともあろう方々が、日本円の発行権は日本国政府が日銀に委託しているだけであって、本来は日本政府が発行権を有する事を知らないわけではありますまい。

ただ、最近の政府紙幣論争を見ていて思うのが、推進派な方も、政府紙幣という言葉のインパクトに依拠しきっちゃっていて、オールオアナッシングの議論にしすぎかなと思うわけです。政府紙幣に行く前に、裏で日銀と話をつけて政府短期証券の直接引き受けで逃げちゃうとか、財政法5条の特例を活用してみるとか、テーラー=溝口介入もどきとか、日銀法改正とか、インフレターゲットの導入とか、あるいはこれは金額的にはすずめの涙ですが記念硬貨を発行してみるとか、色々議論すべきオプションがあるはずなんですよね。どこまでだったら反対派の人が妥協できるのか、ちゃんと議論しているのかなぁ。心配です。

政治とは、目的を達成するために色々妥協調整するプロセスだと、僕は思っているのですが、なんか長州=藤波の遺恨試合を延々演じる事で、民衆の不満をそちらに振り向けて、一部熱狂する馬鹿が出て溜飲をさげさせる事で、政治的プロセスをストップさせる事が大流行みたいな感じに見えて仕方がありません。

というか、何故このタイミングで消費税増税の議論や、あるいは天下り対策なんかの話*1で、時間を費やしてしまうのか、全く謎であります。優先順位をちゃんと考えようよ。優先順位についても政治プロセスによる妥協調整が必要だと思いますが、巷の人の関心事はNo.1は調べなくても「景気と雇用の問題」だというのは明らかだと思うんですよね。それを無視していると、そのうちしっぺ返しくらうよ。某党さんわかってるのかな。

*1:これも大事な問題ではありますが、制度設計からしっかりやらないので、「禁止する→裏をかかれる→それも禁止する→裏をかかれる&弊害が出る・・・」の連鎖にしかならんわけで。