財テク失敗

本石町日記さんと今朝のドラめもんさん経由のネタ。

駒大、デリバティブ取引で154億円損失
世界的な金融不安の影響により、駒沢大学(東京都世田谷区)が資産運用で行ったデリバティブ金融派生商品)取引で154億円の損失を出していたことが19日、わかった。
(中略)
 駒大によると、問題の取引は昨年7月、大学理事会の了承を得た上で、外資系金融機関3社との間で行われた。資産運用としてのデリバティブ取引で、総額は110億円にのぼった。

 ところが、金融不安の広がりにより、今年3月末の昨年度決算時点で53億円の評価損を抱えることになった。その後も好転する兆しが見えず、金融危機が決定的となった後の先月下旬、すべての契約を解除。最終的な損失額は154億円に上った。駒大は今月2日、世田谷区内の野球部グラウンドなどを担保にみずほ銀行から110億円の融資を受け、5日に3社に対する清算を終えた。「大学経営に影響はない」(駒大広報課)としている。今月17日には、弁護士と公認会計士、大学理事からなる調査委員会を設置。巨額損失を発生させた経緯や関係者の責任を明確にし、文科省に報告する。(以下略)
(2008年11月19日13時45分 読売新聞)

僕が思った事はドラめもんさんが大抵指摘済みなのですが、重複を覚悟の上で書くなら。

1.金融不安が原因ではなく、「賭け」を行い、負けて損失を出しただけ
2.基金で、元本を超えた損失を出すような高レバレッジ運用をするなんて
3.リスクをヘッジする目的ではなく、リスクを取りに行った事が間違い
4.財テクで本業の赤字補填できるんなら、本業を止めて金融屋に業転すべき(できないけど)

となります。これ、普通の企業だったら即死じゃないかな。大学だからOBがそれなりに尽力したんじゃないかと思う。一応、理事会通しちゃってるようなので、手続き上の問題は無いかも知れませんが、担当者が会社の金で、893屋さんのノミ行為に手を出して、ケツの毛まで毟られたのと全く同じ情況じゃないかと。

なお、「それだと利益が少なくて意味が無い」というのはそもそも論として本業が儲かっていない(学校法人だから儲かるとかいう表現はあまり穏当じゃないですが、苦笑)という問題が発生しているのですから、運用で頭を悩ます前に本業のスクラップアンドビルトを行うのが先決であろうかと思いまする。
(強調は僕がつけました)
今朝のドラめもん(2008年11月20日 09:15:58)

に鞭打ちになりそうなぐらいノッディングしているわけであります。

昨日僕の出身大学の地元OB会みたいなのがありまして、こちらもOBの寄付による基金設立して100億円を目指して寄付金を集めている最中だったりします。金融論の先生は多いはずなので、間違っても似たような失敗はしないで欲しいなあと思っています*1

こういうお金は、運用益を出して赤字補填に使うんじゃなくて、将来必要になるであろう、大学としてのインフラ投資のための積立金みたいなイメージにした方が良いと思います。運用益が出ているようなら研究費の足しにしても良いのかなくらいの感覚で。これまでだって、某講堂の改修とか、某会館の建設とかの際にはOBの寄付を集めてちゃんと実現していたわけですから、基金の形で前払いにする必要も無いかと思います。それでも前払いをして欲しいというのであれば、目的以外の使用では「減らさない」事を前提にして欲しいなと。

世の中「リスクを取ることは素晴らしい」なんて言って、他人にリスクを負わせて手数料で稼ごうとする人(の応援団の評論家)が騒いでいたりしますが、競馬の予想屋が「絶対当たります」って口から泡を飛ばしているのと、なんら変わりはないわけで。たまに証券会社の人が営業でユーロ債みたいなのの営業に来られるわけですが、大抵は「詐欺商品」としか思えなかったりするわけで。

というわけで、最後は

てか監督官庁様におかれましては、こういう事案をよく精査して悪質営業員および悪質販売業者がその過程で見つかれば厳罰でじゃんじゃんしょっ引くべきであろうかと思いますけれどもどうでしょうかねえ。これさすがに野放しはどうかと思いますよ。
(強調は僕がつけました)
今朝のドラめもん(2008年11月20日 09:15:58)

に全く同意して、終了したいと思います。

*1:金融論の先生がいても、理事会みたいな意思決定機関を通すと、多数決負けしちゃったりする事もありますが