トヨタと為替の件

昨年末はちょっとトヨタに対して厳しすぎることを書いてしまったと反省*1

何故急にあんなに赤字になったのか、銀行の人と話をしていたらすっきりしました。当時は日米に金利差があったので*2先物予約のレートは輸出側はプレミア、輸入側はディスカウントになっていたわけです。で、輸入側はディスカウントになるので予約をガンガンしていて、輸出側はプレミアを嫌ってオープンにする傾向があったと。言われてみれば、自分たちも輸入側はそれなりに予約する事もありますが、輸出側は全くしてませんでした*3

というわけで、トヨタが仮に北米・欧州向けの輸出に対して為替予約を全くしていないとすると、全売上高を20兆円*4、北米・欧州の比率を7割程度として、14兆円くらいが為替リスクに晒されているわけです。ここで為替が1%(大体1円)変動すると1400億円も受け取り額が変動するわけで・・・。予算修正では一ヶ月あたり約120億円×月数×為替変動率の影響が出るわけですね。20%程度円高が6ヶ月継続と予測したら、1兆4400億円。そりゃもう大騒ぎで当然でしょう。先物予約ゼロだとこれくらいのインパクトが考えられるという事ですね。

結論から言うと、為替差損の赤字と、北米急減速での生産調整は、同時に起きていた別の現象*5だったという事なのでしょう。当時の報道などでは、両者を絡めて説明していたように思います。僕が両者をごっちゃにした認識をしていただけかも知れませんが、それゆえに何故売上が2兆円減ったときに利益が2兆円も消えてしまうのか、おかしいと思ってしまったわけです。

で、ここからは日本全体の話なのですが、輸入側企業は予約しているので円高の恩恵が遅れ、輸出側企業はオープンなので円高の損失が速攻で出るわけです。日本中でトータルするとそういう傾向が出てくるんでしょうね。こういう非対称は、あまり想像したくない・・・。

*1:元某団連会長な人に対して感じていたものが出ちゃうんでしょうね。ああいう態度は、守るものがあるオーナー筋の人にはなかなかできませんね。

*2:今はほぼゼロ

*3:言われるまで自分たちが何をやっているのか認識していなかった・・・まあ、良くある事ですw

*4:以下、正式な数字は確認せずにアバウトに試算しただけですので数字の厳密性は気にしないでください。

*5:売上減による利益の減少は当然あるけど比較するとマイナーな問題