所得の増加とインフレ率の関係について(その2)

svnseedsさんのところのコメント欄で迂闊な事を書いたら、svnseedsさんがしっかり調べてくれました。感謝感謝。

一応僕も、以前にこんなことを書いていたのですが、せっかくなので統計指標をsvnseedsさんのところとあわせて、同じグラフにしてみました。前回は1991年以後だったのですが、今回は1972年以後です。

CPIは最新結果の方の「品目別価格指数(昭和45年1月〜最新月)」 を使用しています。

というわけで、前回書いたように一応遡ったデータもほとんど賃金上昇率>物価上昇率となっています。例外は1980年くらいと、CPI上昇率が0%近辺ですね。

EXCELで線形の近似曲線を入れてみると、y = 1.2557x + 0.0063、R2 = 0.8977という事で、大雑把に給与上昇率の方がCPI上昇率より25%ほど高そうという結果になりました。

インフレーションというのは、語源的には「(経済規模の)膨張」であります。物価の上昇が所得の上昇に起因するものであれば、まあ、それほど恐れる事は無いのかなぁと思う次第。もちろん、現在起きている一次産品の輸入価格上昇に伴う、「一部」財の価格上昇は、経済規模の膨張をもたらすわけではないので、インフレーションと呼ぶのには思いっきり抵抗があります。実際、econ-economeさんが指摘されるとおりデフレーション気味なのかなぁと思う次第。まあ、スタグフレーションなのかデフレーションなのかというのは、生活者的感覚からすると、実はどっちでも良い話でして。「景気は悪化しつつある」と一言言っちゃえば済む話なのかなぁとも思う次第。

「物価が上がっている」という話がちらほら出てきていますが、今のところ値上げに成功したのは、政府統制価格がある商品と、圧倒的寡占力を持ったNB商品と、国際的に品不足になっていて価格上昇して需要量が減少しても構わない状態にある原油関係くらいなわけで、これだけ食材価格が上がっているのに、いまだに外食の値上げが無いというのが、今のデフレーション傾向を強く示唆しているわけです。

昨年夏すぎから悪化傾向にあった景気が、ここに来て急減速という感じで、アメリカで「リセッション入りか?それとも単なる景気停滞で済むのか?」という話になっているのを聞くたびに、日本は明らかにリセッション入りしているだろうと思うのであります。まあ、日本の場合は、長期にわたる景気停滞ですら「いざなぎ景気を超えるほど長期間にわたる景気回復」と表現してしまう言霊の国なので、誰も「リセッション」という表現はしないんでしょうが。

6月は業界の会合が多々ありまして、今週一週間は東京にいて業界関係者と色々と情報交換しているのですが、出てくる話は「道路が空いちゃったね」とか「お先真っ暗だな」とか、そんな話ばかりでございます(涙)。